長白山森林温泉リゾート　ヒルトン温泉ホテル

長白山北斜面の一角に位置する計画地は、中国政府が指定保護する原生林に隣接し、開発範囲を厳しく制限されている。　この制限をうまく利用し、隣接する保存原生林を最大限生かしながら、プライバシーと高級感を確保した温泉ホテルを計画した。

ホテルのボリュームは、南北に長い敷地形状に対して、南にいくほど高くなるように階数を設定し、アプローチ道路への圧迫感を抑えるとともに、折り重なる切妻屋根を遠くに見える山並みに調和させた。　外観は、この地域で産出される自然石と木材を主材料として地域色を打ち出すとともに、大きなガラスや金属材でモダンな山小屋としてイメージを演出した。

ホテルのエントランスは、客室への動線を考えてホテル中央東側面に設け、アプローチの期待感を高めるとともに、エントランスからロビー、客室への動線が最短になるように計画した。　1階の北側にはレストラン、中央にはロビー、南には温浴施設を配置して、ロビーを中心に南北に機能を振り分け、2階には宴会場や会議室、ＳＰＡなど補助機能を配置、3階以上を客室に設定した。　ホテル内では、すべての窓から原生林の景色が眺められるように借景を多用し、自然が身近に感じられるような窓の取り方に気を付けた。　サービス機能は西側面と地下にまとめ、滞在客の視線から切り離すように注意した。

内装は、森や自然といったテーマを基にデザインを展開し、迫力のある木組み天井や趣のある暖炉、ポイントとなる水景などの設えと、木材を基調にした内装が、上質な森林温泉リゾートとしての雰囲気を最大限演出している。